投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-03-31 (638 ヒット)

 3月26日(水)に、駒沢大学にて第172回駒沢宗教学研究会・関東地区修士論文発表会が行われました。本学からは、2012年度に修士論文を提出された魚尾和瑛さん(博士後期課程1年)が発表しました。
 魚尾さんの修士論文は、1958年に発生した狩野川台風を事例とし、災害時における僧侶と儀礼の機能を論じたものでした。今回の発表は、その修士論文で得た知見を、魚尾さんが博士後期課程でおこなっている、東日本大震災後における福島県いわき市の宗教者・教団の支援活動調査に関する見解と照らし合わせた上で、宗教者・教団の活動の変遷の類型化と考察を試みる、という内容でした。
 フロアからは、提示された類型を他の事例に当てはめるとどうなるのか、果たしてそれが教団の支援活動に関するモデルになるのかという質問等があがりました。


 発表する魚尾さん

 また同研究会には、他の3大学(東京大学、神奈川大学、駒沢大学)からも発表がありました。それぞれの発表タイトルは、「近代ドイツにおけるユダヤ人のアイデンティティをめぐる問題」「チベット仏教寺院における伝統と革新―内モンゴル「大召寺のチャム儀礼」を事例として―」「江戸の閻魔信仰における一考察」というもので、バラエティ豊かでした。
 いずれの発表も非常に興味深く、学ぶことがたくさんありました。修士課程の2年間という限られた時間のなか、発表者の方々が行った作業や努力が伝わってきた発表でした。私もこの春から大学院に進学するのですが、院生の研究とはどのようなものか、とても勉強になりました。
                                                  (文責・高田彩)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-03-27 (755 ヒット)

                                      若林彩香記(教育人間学専攻4年)

 12日は弓山達也先生、齋藤知明先生、若林の3人でいわき市から南相馬市に移動し、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会主催の「東日本大震災のつどい鎮魂並びに復興合同祈願式」に参加すべく、カトリック原町教会を訪れました。

 会場には全体で50人ほどの宗教者・関係者・報道陣が集まっていました。14時より祈願式が始まり、東日本大震災復興タスクフォースの前島宗甫責任者(WCRP日本委員会理事・日本キリスト教協議会元総幹事)によるご挨拶がありました。その後、宗教宗派別の祈りでは下記の8教団がそれぞれの祈りをおこないました(50音順)。

 ・カトリック
 ・清水寺
 ・黒住教
 ・浄土真宗本願寺派
 ・日本聖公会
 ・日本ムスリム協会
 ・妙智會教団
 ・立正佼成会

 祈りの後は、14時46分に参列者全員で黙祷を行いました。最後に、カトリック原町教会の狩浦正義神父によるご挨拶があり、祈願式は終了しました。十字架の前で、さまざまな宗教による祈りが行われる姿は新鮮味ある光景でしたが、宗教宗派を超えた祈願の場・供養の心に隔たりはないと感じました。



 祈願式が行われたカトリック原町教会


 さまざまな祈りがありました(閉式後の集合写真)

 今回2日間にわたって、いわき市と南相馬市を回りました。簡単ながら所感を述べさせていただきます。
 まず、震災から3年が経ったいわき市ですが(いわき市調査報告はこちら)、駅周辺や市街地では震災の傷跡はほぼなくなっています。人々の活気も戻ってきているようでした。ですが、海岸沿いは依然として更地のままで、新しい防波堤を作るための工事が行われています。
 一方で、人々の震災に対する気持ちに変化があったように感じています。今回の調査で、ある市民の方が「震災発生当時は、なんで自分たちがこんな目に合わなければいけないのかと思った。でも今では、震災経験を与えてくれたことで、同じ経験した人に、共感してあげられるし、自分たちにできることを素直な気持ちでできる」とおっしゃっていました。

 昨年の同日にいわき市を訪問した際は、多くの方が震災の経験について話すことに抵抗感を持っているように思いました(昨年の報告はこちら)。しかし、今年は私たちに震災当時のことや、その前後の生活について辛いことも含めて事細かにお話ししてくれました。時間の経過と共に人々の心に少し余裕ができ、震災経験を言葉にすることや、他者(震災経験のない人)と共有することに対して抵抗がなくなったのではないかと感じました。

 南相馬市には初めて行きましたが、ちょうど街に人が戻り始めてきている最中という印象を受けました。なかでも、飲食店は徐々にお店を再開しているようで地元の方が集まっていました。祈願式では多くの教団が原発事故を意識しているようで、原発に近い町であることを改めて感じました。

 多くの地域で復興が目に見える形で行われていて、“震災は過去のこと”と捉えられてしまっているようになってきています。ですが、まだ復興への道のりが長い地域が数多くあるということを私たちは忘れてはいけません。改めて息の長い支援が必要だということ、被災地以外にいる人たちができることとは何かということを考えさせられる調査でした。今回は調査に同行させていただきありがとうございました。

※ブログ担当注―若林さんは昨冬、弓山先生のもとで震災関連の卒論を書き、今春から本学大学院の宗教学専攻に進学する予定の学生です。今後も宗教学研究室は、学部・学科、学部生・院生問わず、宗教学に関する研究をしたいという学生とともに研究を進めてまいります。


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-03-20 (707 ヒット)

                                       若林彩香記(教育人間学専攻4年)

 東日本大震災から3周年となる3月11日から12日にかけて、大正大学宗教学会「震災と宗教」研究会では、弓山達也先生、齋藤知明先生、小川有閑さん、藤井麻央さん、若林彩香の5名で、いわき市および南相馬市における追悼行事や宗教団体の活動などを見学・参加してきました。調査内容について、今回から2回に分けて若林がお伝えいたします。

 11日午前は、弓山先生・若林が立正佼成会磐城教会、齋藤先生・藤井さんが創価学会いわき文化会館、小川さんが孝道教団福島別院の3班に分かれて行動しました。

 私が見学させていただいた立正佼成会の法要は、およそ40人の方が参列されていました。法要後、3.11当時の鮫川・小名浜・永崎海岸・江名港などの津波の映像を見て、教会長さんのお話をうかがいました。

 その後は、「かみしめ法座」がおこなわれました。「法座」とは信者同士が数人から数十人ごとに分かれ、日々の悩みや信仰上の疑問を語り合い、解決策を見出す立正佼成会独自の活動です。今回は支部ごとに行われ、弓山先生と若林もそれぞれ参加しました。私が参加した泉地区の法座では、それぞれの3.11当時の話や、その前後での生活の変化についてお話ししてくださいました。

 釣りのお好きな支部長さんは「震災以前は、週末は海に出て魚を釣っていたのに、震災以後は、それができなくなってしまった。まさか自分が魚を買う日がくるとは思っていなかった」と話されました。また、震災直後、原発事故の関係で茨城県の教会に親族を置いて避難した、という信者さんのお話も伺いました。

 午後は創価学会調査班と合流をし、いわき市内で津波被害が甚大だった平薄磯地区に移動しました。薄磯では、海岸沿いを歩いたのち、修徳院で行われた薄磯地区追悼法要にうかがいました。修徳院は薄磯地区唯一の寺院で、多くの真言宗智山派僧侶が法要を勤めていました。私たちはお寺の外で法要に参列しました。

 こちらは遺族の方々以外にも報道陣が多く集まっていて、地震が起こった14時46分に合わせておこなわれた黙祷の際は、多くのフラッシュ音が響いておりました。僧侶と市民の方々、報道陣を合わせて100人はいたとおもいます。

 
 薄磯海岸での供養塔


 薄磯地区追悼法要が行われた修徳院

 この日は他にも、久ノ浜にある浜風商店街や、津波被害に遭った後に再建された久ノ浜の秋義神社や星廼宮神社、大規模な支援活動を展開しているグローバルミッションセンターや天理教磐城平大教会にうかがいました。


 西日に映える秋義神社


 「ここに故郷あり」星廼宮神社
 
 東北にとっての3月11日は、平日であったにもかかわらずなにか落ち着きませんでした。町中が悲しみと祈りに包まれており、私たちも一日中3年前のあの日を想像せずにはいられませんでした。
                                                   


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-03-13 (846 ヒット)

 去る3月4、5日に本学にて、第2回臨床宗教師フォローアップ研修が開催され、大正大学宗教学会も共催で参加いたしました。
 研修は、全3部で構成され、1部では、聖学院大学教授の窪寺俊之先生による公開講演会「宗教家と臨床宗教師」が行われました。窪寺先生は、スピリチュアルケアや臨床死生学が御専門であり、その立場から宗教家と臨床宗教師がどう違い、そして、何が臨床宗教師に求められるのか、その展望を論じられました。この講演の中で窪寺先生は、東日本大震災によって、宗教者だけでなく、特定の宗教に属さない人たちも「魂の祈り=宗教心」が発露され、宗教を越えた、純粋な宗教心や宗教への救いが求められたと述べられました。しかし、宗教を直接のケアの方法にしてしまうことによって、宗教の品定めや布教、時には宗教的な内容が、被災者を傷つけてしまう可能性があることを指摘しました。



 聖学院大学 窪寺俊之先生

 その一方で、臨床宗教師にとって宗教は、ケアをしていくことを神仏から委任されているという意識を保つ為に不可欠であり、いつか神仏が被災者を立ち上がらせてくれるという信仰であるとも述べ、宗教が今まで積み重ねてきた信仰や、文化から、ケアへと繋げていけるのだと論じました。そして、臨床宗教師であるからこそ、宗教を越えて宗教者同士が新たなケアや救いの創造に向かっていけるのではないか、とその展望が述べられました。
 2部では、臨床宗教師の研修を受けて、現在第一線で活躍している方々の自己紹介と事例報告が行われました。事例の報告では、窪寺先生を始め、臨床宗教師同士、情報の交換だけでなく、問題点の指摘など、熱い報告、検討会が行われました。それぞれが報告する内容は、個々に報告者が実際に関わっている方々の具体的な事例があり、時には厳しくその対応などに意見が出され、技術の向上が図られていました。
 翌日の3部では、スピリチュアルケアワーカーとして活躍されている、飛騨千光寺住職大下大圓先生による、「死について語る」ワークショップが行われました。ここでは、グループワークとして、死が怖いと相談を受けたというロールプレイを行い、更に死生観をそれぞれのグループで話し合いました。グループワークでは、「死」というものがあまり話されるものではなく、忌避されているものであり、それらを開示していくことが、実際に「死」と直面した人へのケアに繋がっていくのであると実感させられました。


 
 グループワークの様子

 そして、研修プログラムの最後には、それぞれが今回の研修で感じた課題をお互いに述べ、それに対してどうしていくべきかを発表し合い、問題点や課題への取り組みを確認し合う時間が設けられました。
 最後に、東北大学の谷山洋三先生より、各地域ごとに集まりを持ち、情報や事例の情報交換を各地域で行っていくという、臨床宗教師のネットワークを構築していくことが発表され、東北大学以外にも龍谷大学でも養成講座が持たれることも報告されました。今までは、東北が中心となっていた臨床宗教師が、全国で組織化され、ネットワークを構築、更なる活動の広がりがみられました。
 2日間に渡る研修でしたが、100名以上の方々が参加し、どうやって救いを求めている人々へと救いの手をさしのべていくのか、技術の向上だけでなく、ケアに対する意識の向上が研修から伝わってきました。


 
 修了後、受講者一同で記念撮影をしました

 本研究室でも、いわき市へと調査を継続しており、被災地で活躍する宗教者の活動などを調査しており、このような研修から得た知見から、更なる調査と被災地の宗教者の活動を伝えていけたらと思っております。
                                                   (文責・魚尾和瑛)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-02-14 (1099 ヒット)

 大学は春休みになりましたが、「多元主義研究会」の主催で、下記の要領で講演会を行ないます。
 こういう話はなかなか聞く機会がないので、院生および学部学生の参加を期待しています。
 もちろん、どなたでも参加できます。


                             記


2月23日 15:30-17:30
大正大学宗教学研究室(2号館6階)

Mr. İdris Danismaz (イディリス ダニシマズ) (Ph.D)
同志社大学 高等研究教育機構高等教院 助教(博士課程教育リーディングプログラム 「グローバル・リソース・マネジメント」)
「トルコの宗教と文化」(90分講演(日本語)+30分質疑応答)



                             研究代表者・星川啓慈(本学会理事・文学部教授)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2014-01-31 (932 ヒット)

 このたび大正大学宗教学会では、東北大学大学院文学研究科実践宗教学寄附講座が主催します「臨床宗教師フォローアップ研修」を共催することとなりました。

 東日本大震災後、宗教者としての特性を活かしつつ、布教伝道を目的としないケア提供を行う宗教者を育成し、宗教者・非宗教者問わずに有志間のネットワーク構築に寄与してきた同講座の取り組みを、大正大学宗教学会としてもバックアップしたく、今回の共催と相成りました。大震災後、宗教者のみならず宗教研究者の社会貢献も模索される中、時宜にかなった研修かと考えます。

 開催日時は、3月4日(第1部、第2部)、5日(第3部)、開催場所は、大正大学巣鴨キャンパス3号館2階多目的コーナー1になります。また、一般の方は、第1部のみ参加可となっております。 

 内容の詳細は、以下URLにありますチラシをご覧頂けますよう、お願いいたします。
 http://www.jscwa.com/rinsyousyukyousi_kensyu2014.pdf

 ※なお、本研修に関するお問い合わせ、お申し込み先は、大正大学宗教学会ではなく、東北大学実践宗教学寄付講座となっております。ご注意下さい。

 連絡先:〒980-8576 宮城県仙台市青葉区川内27-1
 東北大学大学院文学研究科 実践宗教学寄附講座
 Email: j-shukyo☆g-mail.tohoku-university.jp(☆を@に変換)
 Tel & Fax 022-795-3831


 
 


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2013-12-28 (759 ヒット)

 12月19日(木)16時より、宗教学研究室(2号館6階)にて、修士論文テーマ発表会・中間発表会がおこなわれました。今回は、修士課程の2名が、目次案や現在執筆を進めている論文の内容などを報告しました。発表会には、弓山達也先生、村上興匡先生、寺田喜朗先生の他、OBや博士課程の院生なども集まり、活発な議論がおこなわれました。以下、発表順に、各発表の要旨を紹介いたします。

 福原さとみさんは「主婦ボランティアの始まり―大槻久子の功績と信仰―」というタイトルで発表されました。この研究では、現在に至るボランティアの担い手としての主婦層を確立した人物として、大槻久子を取り上げ、彼女の宗教的背景、思想とボランティア活動との関係について考察することを目的としています。そして一主婦の信仰心がもたらした日本のボランティア史への功績を明らかにすることを目指します。
 研究の方法と手順として、(1)大槻自身が書き残した資料の解析、(2)大槻の家族をはじめ、「よこいとグループ」関係者への面接調査、(3)これらの結果の、宗教的観点からの分析を試みます。今後の課題として、大槻自身の信仰心が本当に原動力となっているのか、他の主婦のボランティア団体との違いなども考察が必要であると挙げられました。

 坪田悠希さんは「三遊亭圓朝に見る時代の変化」というタイトルで発表されました。この研究では、江戸末期から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝の代表作『眞景累ヶ淵』を中心に、怪談をめぐる表現形式がどのように変化していったのかを明らかにすることを目的としています。現在、『眞景累ヶ淵』、『怪談牡丹燈籠』、『死神』の3作品について、原案となる作品の存在、時代的背景を考慮した創作、内容やオチを変更する可変的な要素等が、圓朝の創作落語の特徴であると述べています。
 研究方法としては、井上円了による迷信打破のための妖怪研究、柳田國男の民俗学的研究、小泉八雲の怪談小説を例に、圓朝の落語と同時代の怪異研究との比較を主におこないます。今後の課題として、聞き書きとしての表現、創作としての表現、ルポライティングという表現、それぞれが明治という時代にどのような特色を持っていたのか比較していけば良いのではないかという点などが挙げられました。
                                                 (文責・杉谷義恭)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2013-12-14 (642 ヒット)

 11月11日(月)、大正大学宗教学研究室にて、「震災と宗教」研究会の第11回定期研究会が開催されました。今回は、8月と9月に行われた、いわき・東北調査の仏教班と新宗教班から報告がありました。

 仏教班からは、教団の支援活動が2年半の間にどのように変化したのか、活動に携わった宗教者への聞き取り調査の報告がありました。また、現在の活動内容や、支援組織の変遷についても考察が発表されました。

 新宗教班からは、被災三県の新宗教教団の調査報告と、いわき市内の新宗教教団の調査報告がありました。被災三県の調査には哲学・宗教文化コースの学部生が同行しており、参加した学部生2名から報告がありました。9月14日から17日にかけて行われた調査は、岩手県、宮城県、福島県の3県を縦断し、それぞれの施設や信者から話を聞かせていただきました。特に、普段はなかなか聞くことのできない、被災地における信仰生活について、聞くことができました。報告では、被災地の信者による震災直後の活動と、現在の活動について報告がありました。


 女川町 液状化と津波で倒壊した建物


 富岡町 帰還困難区域近くまで訪れた

 一方、いわき市内の新宗教教団の報告では、震災発生から現在までの活動が報告されました。また、現在行われている「みなし仮設」での支援活動や、公園でのスタンプラリーへの参加について、詳細な報告がありました。

 震災後から今日まで、被災者のニーズは時間の経過と共に変化し、同時に支援のあり方も変化しています。更に、信仰生活も時間と共に変化していることが、今回の報告から明らかになりました。今回は、そのニーズの変化、支援の変化、信仰生活の変化を聞くことができ、今後の支援のあり方についても考えさせられ、更なる調査、考察が必要であると感じさせられました。
                                                   (文責・福原さとみ)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2013-12-06 (757 ヒット)

 10月30日、浄土宗浜通り組青年会が福島県いわき市でおこなっている被災地支援活動「浜○かふぇ(はままるかふぇ)」に、齋藤知明先生(本学会委員)と魚尾和瑛が行ってきました。当サイトでこれまでも報告していますように、いわき市は「震災と宗教」研究会の主なフィールドであり、今回も調査の一環として参加してきました。

 浜○かふぇは、浄土宗の福島教区浜通り組(いわき市、広野町、楢葉町、富岡町、相馬市、南相馬市の浄土宗寺院)に所属する青年僧侶達が組織する浄土宗浜通り組青年会(浜浄青)が主に運営しています。震災直後から炊き出しなどの支援活動をおこなっていた浜浄青は、2011年9月からいわき市内の仮設住宅の集会所で訪問移動カフェ活動を週1回開催するようになりました。その名も「浜○かふぇ」です。
 浜○かふぇは、仮設に住んでいる方々にコミュニケーションをとってもらい、仮設内で独りになる状況を防ぐことを目的に始められました。現在もその目的は継続しており、活動内容は、仮設住宅内に併設された集会場で青年僧侶たちが住民の方々に対して、コーヒーや紅茶、日本茶などの飲み物や、おまんじゅうやポップコーンなどのお菓子を提供することをメインとしながら、時には高齢者の相談に乗ったり、時には子どもたちと一緒に遊んだりするというものです。


浜○かふぇ、OPEN!


 私たちが参加した日も、青年僧侶が10人ほど集まり、上記と同様の活動をしていました。そのほか、大阪の浄土宗青年会の紹介で慰問に来られた吉本興業所属パフォーマーのTASUKUさんが大道芸や手品を披露するなどし、住民の方々や子どもたちはとても喜んでいるようでした( TASUKUさんいついては、右のURLを参照 http://tasuku.laff.jp/blog/2013/10/post-de8c.html )。


 浜浄青会長の柳内悦大さんによると、浜○かふぇが活動する仮設住宅は毎週異なっていて、仮設住宅によって集まる住民の数や年齢層などは様々だそうです。年齢層は、高齢者が中心ですが、子ども達が学校から帰宅するとすぐに集会場に集まり、僧侶や同行したボランティアと遊んでいるとのことでした。今回訪れた仮設住宅は比較的多く集まるところで、40名ほどの住民が集会場に来てくれました。帰宅後訪れた子どもたちは、TASUKUさんから風船の作り方などを教えてもらっていたり、青年僧侶と追いかけっこをしたりしていました。


TASUKUさんのパフォーマンスに驚く、皆さん

 あいにく、活動中に大雨になってしまって洗濯物を取り込むためなどで帰宅する人も見られましたが、集まった方々は楽しいひとときを送っていたように感じます。その一方で、「私たちはこれからどうなるのか」や「現在の状態はどうなっているんだろう」といった話も聞こえ、浜○かふぇの場が単なる憩いの場ではなく、住民の方々の情報交換や相談の場になっている、との感想を持ちました。

 この「浜○かふぇ」では、青年僧侶たちはあまり宗教色を出さないように心掛けているとのことでした。つまり、僧侶だからと言って積極的に浄土宗の布教や説教などはしていません。しかし、カフェを始める際は、浜浄青の代表者が自分たちは地元の僧侶であることを説明し、被災者のみなさんと苦しみを共に分け合っていきたいという意思を示します。住民の方々からは「お坊さんが来てくれて嬉しい」といった声も聞かれ、被災地における宗教者の活動の在り様や、宗教者と地域住民との関係の一端が見られました。

 浜○かふぇの詳しい活動目的・活動内容・設立経緯などについては、本学会刊行の『宗教学年報』第27輯に掲載しております、小川有閑さんによる「寺院間ネットワークと地域社会のつながり―浄土宗浜通り組青年会の活動から―」をご覧ください。
                                                 (文責・魚尾和瑛)


投稿者 : webmaster 投稿日時: 2013-11-28 (812 ヒット)

 初めまして。大正大学文学部人文学科の星川(本学会理事)です。あまり、宗教学のブログには登場しませんが、今日は皆さんにお知らせがあります。

 2013年11月24日に、「多元主義研究会」が発足しました。この研究会は、「生命主義と普遍宗教性による多元主義の展開――国際データによる理論と実証の接合」というテーマで研究を行い、今年度から5年間にわたって、日本学術振興会から研究費を得ています(基盤研究(A)(一般))。

 研究会の目的は、以下のようなものです。かなり抽象的ですが、具体的な成果や研究活動はこのブログでお知らせしていくつもりです。

 1.宗教概念データベースの構築により、宗教的多元主義を検討する座標軸を提供する。

 2.データベースに基づき、信仰者・非信仰者への国際的実証調査を行い、普遍宗教性と宗教的寛容性の実態を、実証的に解明する。

 3.普遍宗教性の構造において生命主義的救済観やスピリチュアリティの位置づけ解明し、その普遍的要素と日本的要素を峻別し、国際的相互理解のための可能性を探る。

 4.上記実態データにもとづいて、多元主義の理論的研究と経験的研究とを相互に関連させ、文献学的・定性的方法と情報的・定量的方法を有機的に融合する方法論を構築する。それにより、多元主義についての従来の諸理論が現実に機能するかどうかを検証し、寛容性や共存可能性のための現実的な処方箋を提示する。

 5.教団と信仰者・非信仰者を双方向に分析する研究方法論を確立し、そのなかで従来注目されなかった「緩やかな信徒」の媒介可能性を検討する。

 研究に際しては、宗教学的・哲学的・神学的議論を踏まえながら、イスラム圏における大規模な調査、きわめて高度な手法を用いた宗教意識の分析などを組み合わせて、研究を展開していく計画です。

 現段階での研究会のメンバーは、以下の先生方です(順不同)。

島薗 進   上智大学神学部・教授
川端 亮   大阪大学人間科学研究科・教授
渡邉 光一  関東学院大学経済学部・教授
秋庭 裕   大阪府立大学人間社会学部・教授
宮嶋 俊一  神奈川大学経営学部・非常勤講師
真鍋 一史  青山学院大学総合文化政策学部・教授
長谷川(間瀬)恵美  桜美林大学人文学系・准教授
弓山 達也   大正大学人間学部・教授
松野 智章   大正大学文学部・非常勤講師
星川 啓慈   大正大学文学部・教授
 その他、随時、情報提供者として、いろいろな先生を全国からお招きします。

 事務局は大正大学におき、研究会は基本的には大正大学で開催します。講演会やシンポジウムを行う場合には、一般の方々にも開放することを考えています。

 最終的には、6年後に、世界に通用する「英文の論文集」を刊行する計画です。そのために、日本宗教学会の学術大会などでの発表、各種学術誌への投稿などと、積極的に活動を展開していくつもりです。

 このような「多元主義研究会」の発足により、大正大学の宗教学(学部学生のレベルから)がさらに活気づくことを願っています。公開の講演会やシンポジウムの際は、気おくれすることなく、積極的に参加してください。

 ブログのアップは1年間に5回位だと思います。ご期待ください。

                             研究代表者・星川啓慈(本学会理事・文学部教授)


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